STAFFリレー
今日の出来事

07/2/7 本屋はサイコー!〜店長
最近眼精疲労が酷く、読書が辛くなりました。
これはもしかして老眼のはじまりだったりして・・・
恐いので追求するのはやめにしよう。

毎年2月に書店、出版社、取次(問屋のこと)業界三者が集まる大きな会合があります。
今年はその会合で往来堂の初代店長の安藤哲也氏が講演されます。

前回の出版クラッシュに引き続き安藤氏の著書をご紹介します。

「本屋はサイコー!」安藤哲也 新潮OH!文庫
実は以前にも読んだのですが、去年絶版になったこともありスタッフリレーには登場しませんでした。

発行は2001年の12月、「出版クラッシュ」の1年後です。
出版業界の売上げが3年連続とか4年連続で落とした時代です。

大学卒業後、数社の出版営業を経て、離婚の慰謝料を払うため30歳にして
時給500円で土日だけの14坪の本屋のアルバイトをはじめた安藤君。
レジで本を読みながら持ち前のアイデアで本を売る喜びを知る。
一年後には店長に就任。
2年で売上げ倍増。
培ったノウハウを生かして千駄木で町の本屋「往来堂」をプロデュース。
「文脈棚」の生まれた経緯。
町の本屋の復権とは?金太郎飴書店への疑問。
最後まで理解してもらえなかった取次との確執の生々しいやりとり。
やがて往来堂のとのわかれ、BK1への衝撃的な転身への顛末。

さて、往来堂をご存のかたはどれくらいいらっしゃるのでしょうか?
書店業界のなかでも知らない人は結構多いのですが、
実は20坪の小さな下町の本屋さんです。
そして20坪とは(最近は坪ではイメージできな人が多いのですが)パルナと同じ大きさなのです。
さらに忘れてはならない往来堂の特徴である「文脈棚」

例えば離婚関連のコーナ。
一般書店なら無味乾燥な実用書のコーナに棚差し。精々女性誌の片隅に置く程度。
大きな本屋では女性学のとなりか。
でも往来堂なら
まずは「離婚手続きの法律書」 でも離婚するには経済的自立が重要→「主婦でも取れる資格ガイド」といったイメージです。

気になったところ。
取次に本を仕入れに行くシーンが出てきます。
年配の書店主が新刊コミックスを仕入れるために行列に並び、おしいただくようにして頭を下げて受け取る。まさに戦後の食料配給。惨めな本屋の立場
実はこれ全く同じ風景がパルナにもありました。
自転車で行ける距離に京都の取次支店があり、パートのおばちゃんに頭を下げて伝票を切っていただく。ちょっと他のコミックを抜こうかなとしたら怒鳴りつけられたりして・・・

また、売上げが他店の二倍近い実績を上げながら、取次に認めてもらえず、ただ高い返品率のみを指摘される。
これもパルナでもありました。
同世代の担当者に「返品率下がらないのなら送品減らしましょうか!」と脅されましたね。

6時には店を出て毎日のように出版社と飲みに行く。
アダルト、コミックは置かない。
このあたり、もう町の本屋とは言えないのではと思ったりもします。
町の本屋は朝から晩までオヤジがしかめっ面をしてレジにいるものです。
レジの横に小さなテレビがあったりして。
20坪で店長がいなくても店が回るのは・・・
町の本屋のメインは娯楽、雑誌、アダルトとコミックは欠かせません。
むしろ安藤哲也ならアダルトをどんな風に展開していくのかみてみたいです。
もっとも、「だったらおまえがやってみろよ」と安藤さんにしかられそうです。
あと、複数の書店人から「往来堂」が成立するのは東京だからという声も聞きます。
これはやっかみではなく、往来堂て発想に近い実績のある書店人ほどそういいます。
確かに「往来堂」が地方都市で可能だったかは気になるところです。
前回の「出版クラッシュ」に詳しいです。参照してください。

とはいえ、この本はとっても楽しいです。
安藤君は思い立ったアイデアをドンドン実践、売り上げもドンドンアップ!
菊地君の本屋さんもワクワクさせてくれますが、雑貨を扱っているために敷居が高い。
「本屋はサイコー!」なら同じ町の本屋なのですぐにでも実践できてしまいそうな気になります。

安藤氏はプロローグに
この本はできれば「就職本コーナ」に置いて欲しいと書いてますが、
冗談ではありません、この本を読んだが学生が道を誤って本屋に就職をしたらどうするの!!
新潮がこの本を絶版にしたのは正解です。

大変危険な書です。

もう夜中の3時、明日は安藤氏の講演会、早く寝ることにします。

そうえいば「街の本屋はねむらない」って本もあったな・・・


07/1/24 出版クラッシュ 〜店長
あけましておめでとうございます って遅いわ!

正月は何故か体調が優れず、昼まで寝て、読みかけてやめた何年もたった「白い巨塔」を読了しました。
後半は裁判のやり取りのため内容が重複しいささか退屈でした。
私の場合、財前五郎は田宮二郎です。

その後、伊坂孝太郎の「ラッシュライフ」
半分ぐらいに圧縮したほうがなんて言うと伊坂ファンに怒られるかな?
しかし、伊坂孝太郎が売れる理由がなんとなくわかりました。
バックグラウンドにある真っ当な道徳、倫理観のようなものがファンを安心させるのかなと。


さて、2月に京都で出版業界の大きな会合があります。
そこで東京は千駄木にあるカリスマ書店「往来堂」の初代店長安藤哲也氏が講演されるので、
その著書を読みました。

「出版クラッシュ」編書房 2000/8発行

全編、三人の鼎談です。
安藤哲也 往来堂初代店長
小田光雄 「出版社と書店はいかにして消えていくのか」
永江 朗 フリーライター「菊地君の本屋さん」

要約すれば
「書店バブルが崩壊し出版業界そのものがご破算になる」ということか

7年前の出版業界事情ですが、とても面白く一気に読んでしまいました。

以下、気になるキーワードの抜粋です。

京都書院の倒産
駸々堂の自己破産

書店は全国で21000軒(2000年当時) 一方で文芸書の初刷部数は3000〜5000部、一部ずつ書店に配本しても4件から7件にしか行き渡らない。オーバーストアの証拠。
それにもかかわらず新刊発行点数の増大
新刊発行に走る出版社、新刊ベストセラーしか売れない金太郎飴書店
日本の書店のほとんどは雑誌店

書店バブルの原因
新刊発行点数の増大とオーダーリースによる容易な出店

駅前商店街の書店の壊滅〜郊外型、他店舗化以外の選択肢はあったのか?
しかしその郊外型書店は採算がとれているのか?

本当に大型店は利益が出ていないのか  永江氏がしつこく追求する
出ていないのであれば何故出店するのか? 
「出版社と書店はいかにして消えていくのか」

2000/2朝日新聞の記事 
「日販赤字90億」の上に「トーメン2000億借金棒引き要求」 ちっぽけな業界


書籍配本のあるべき姿、業界三者書店、取次、出版社の出版流通システムのあり方。
取次が物流、金融、情報の占有
そこに読者不在

再販制 委託制の功罪

雑誌に関しては上手くいっている。

雑誌書店と書籍書店をわけろ。

書店経営者のビジョンのなさ。

読者も消費者化、
出版文化をだめにしたのは読者でもある。

再販委託の撤廃をしなければ出版業界の崩壊は食い止められない。

以上

さて、京都の皆さんには駸々堂の突然の廃業はショックだったのではないでしょうか?
私は知っています。あの当時、日販3階の闇に駸々堂の在庫が山のようにあったことを・・・

それにしても本書で三人が主張した書店バブルの崩壊はいつくるのでしょうか?
2000年以降も京都では大型店が何軒もできましたがいっこうに崩壊する様子はありません。

少しここ20年ほどの世の中の動向 バブル景気から2000年までの流れをまとめてみます。

85年プラザ合意
86年12月から91年5月バブル景気
90年10月株価暴落
93年景気低迷の実感
95年阪神大震災
96年パルナ書房店長就任 この年より業界始まっていたいの対前年比マイナス成長が始まる(>_<)
97年の山一證券倒産
99年 書店業界3年連続赤字

書店業界はもともと不況知らずと言われきました。
オイルショック、さらにバブル崩壊の時でさえマイナス成長をしなかったそうです。
しかし!私がこの業界に入った途端マイナス成長が始まり、以後現在まで10年連続マイナス。お見事!

内容について概ね共感できることばかりなのですが私の私感を少し。

本書の三人が訴えているような往来堂のような新刊ベストセラーに頼らない本屋は
人口密度の極端に高い東京だから可能だったのではないか。
地方の駅前商店街の書店の壊滅やがそれを物語っている。
地方において書店のみならず商店街自体が壊滅したのは
20年前モータリゼーションの到来という世の中全体の流れの中で起こった現象であり
取次占有、大手書店占有、再販委託制の弊害、金太郎飴書店、といった出版業界の中だけの問題ではない。
よって零細書店の壊滅はいずれにせよ避けられなかったように思います。

また零細出版社の書籍は大手書店が売り、零細書店ほど大手出版社の書籍の販売シェアが大きいクロス現象。
これはパルナ書房においても同じです。
良書を仕入れても見向きもされない。
また、読者の消費者化は売れっ子作家の文芸書を仕入れても
文庫になるまで待つお客様の動きからも実感できます。

取次から出版業界にたいするグランドデザインが見えてきません。
取次役員が言うのはいつも必要な書籍をを必要な分だけ適性配本・・・
版元や書店が経営できる収益構造の提案がない。

三人の意見に共感できなかったこともあります。
雑誌と書籍を一緒に売ることは悪いことなのでしょうか?
雑誌も児童書もエロも一緒に扱っているのが日本の町の本屋の良さではないのか?
アメリカでは書店では雑誌を置かずドラッグストアで雑誌を販売しています。欧米か!
けれども日本にも江戸時代からの偉大な出版文化があったはずです。
そこでは春画のようなものも出回っていたのでは・・・

ではこんな悲惨な業界でどうして零細出版社と零細書店は頑張るのでしょう。
本書の終わりの方にあるドイツ映画監督の言葉があります。
「それ以外にどんな仕事をしたらようものか、わからないからですよ、本当に」
                    そして麻薬中毒で死んだとか・・・

さてこの「出版クラッシュ」実は絶版商品です。
したがって手に入れるためにインターネットのアマゾンで古書として手に入れるました。
希少本にもかかわらず、検索すれば即座に在庫のある古書店表示、注文後3日で入荷。
しかも金額は送料を入れても定価の三分の一。その便利さにビックリ。
正直いってパルナで発注するより簡単。
しかも検索のついでに書店関連書が一覧表示、これが的確な情報でした。
単純なキーワード検索ではこちらが求める書店関連本はなかなか引っかからない物なのですが
購入者情報に基づいて案内表示しているようです。
アマゾンの驚異的な仕組みに畏怖しました。これをweb2.0的ビジネスというのでしょうか?

しかし、こんなにネットサービスが便利になり、一駅で大型書店に行ける時代になったというのに
その一方で、ここ数年パルナ店頭でのお客様からの書籍注文のご依頼が非常に増えているのはどういうことでしょう。
このあたりに生き残りのキーワードがあるのかもしれません・・・

06/12/31 今年、考えたこと 〜店長
スタッフリレーを更新することなく年越しを迎えることになりました。

今年起こった出来事と考えさせられたこと、もろもろのご報告を致します。

10月14日に祇園書房さんが閉店されました。
実質的に祇園書房さんを運営されていた書店員のTさん、Kさんとは大変親しくしてさせていただいておりました。
実はお二人と仲良くするきっかけとなったのは去年のリーブル銀閣寺U氏の閉店残念会でした。
まさかこんなことになるとは皮肉です。

祇園書房さんの閉店がショックだったのは、町の本屋再生のモデル店的存在だったからです。
もともとたばこ屋さんが雑誌スタンドおいたところから始まったと聞いています。
事情あって、10年ほど前よりプロの書店員が運営することとなり、
京都本と料理本に力を入れて特色を出し、魅力ある存在意義の高いお店となりました。
その実績はある京都の出版社営業マンによると自社本販売額がナショナルチェーンJ堂をダントツに引き離して全国一位だったそうです。
地元出版社の本を30坪の小さな地元書店が大手チェーン店よりたくさん売る。
理想的な出版社と書店の関係がそこにありました。
町の本屋の小さな希望のような存在でした。

閉店事情についてはここではふれません。
本を売っても利益が出ない出版業界の構造的問題が根本にあります。
つまりこれからも閉店する本屋があるということです。
それは町の本屋のみならず、大手チェーンでもおこるであろうとおもいます。

最近閉店される書店がみな特色あるお店であり、他に代えがたい優秀なプロの書店員がこの業界から去るのは書店業界のみならず出版界の損失であると考えます。

新刊に頼る出版社
ベストセラーに頼る書店
商品回転率しか見えない取次
新刊が売れるか売れないかは5対5。
ベストセラーは生まれてもロングセラーは生まれない。
そして利益率はいつまで経っても上がらず、薄利多売。その多売が維持できなくなり閉店。

本を売る面白さを忘れ、本を売る力が衰え、書店員はアルバイトばかり。
パートタイマーでは書店人は育ちません。
それでもこの業界に生きようとする人は世捨て人のような生活を覚悟することになります。
結婚せず、家を持たず、体力が衰え老いてゆく。
情報化社会の中、溢れる新刊を徐々にさばききれなくなり使い捨てにされていく。
本来は書誌情報の蓄積が年を経るごとに活かされ、深みのある棚が売上げに貢献するはずですが、
新刊に頼る構造ではノウハウより資本力が有効となります。

ライターの永井朗氏は出版座談会の中で書店への就職を「よせよせ」と仰っておられます。
「菊地君の本屋」を書いた人です。
この本を読んでこの業界に入った人はどうしたらよいのでしょう。

と書いてると年末の忘年会で京都駅近くの全国チェーンの書店員と知り合いました。
新卒採用、書店経験三年目、大変優秀な人です。
パルナの書棚も学生時代よりチェック済みで驚きました。
自店にこもらず他店との交流も積極的な将来性のある人材ですが、
このような方が契約社員という立場で採用されています。
どうして最初から正社員で雇わないのでしょうか。
3年契約のため来年で契約が切れることになりますが、こんな雇用状態で人材を流出させて企業は発展するのでしょうか。経営者の見識を疑います。
繰り返しになりますが、それもこれも利益のでない書店経営の収益構造に問題があるのだと考えております。

さて後ろ向きな話ばかりを書きましたが、
新しい出会いもたくさんありました。
長岡京にあるB店、左京区にカリスマ書店がありそこの系列です。
ここのM店長、O嬢、W君三人の優秀で若いスタッフが独自の書店の方向性を探っています。
3年前から知り合いの北山のA書店T店長
若く優秀な人材がこんなに惨憺たる業界に存在していることは一つの希望です。
私も彼らからたくさんの棚作りのサジェスチョン、書店運営を学びました。
また祇園書房のTさんは本と関わりのある新しい方向を自ら開拓されることとなりました。
来年が楽しみです。

そろそろパルナも商売のやり方の方向性を変えねばと思案しながら
今年の締めとさせていただきます。

来年もよろしくお願いいたします。

店長


06/8/27 伊藤若冲 〜店長
先日、近鉄大久保駅近くまで行ってきました。
新しく知り合いになった書店に訪問してきたのです。
渋滞に巻き込まれるのを避けるためスクータで行ったのですが、えらい目に遭いました。
新24号線と旧24号線を間違えたのです。
昔、仕事でよく通っていたので地理を知っていたつもりだったのですが、旧24号線を走っていてふと標識を見ると69号線となっておりました。
あっそうだ、24号線は新しい京滋バイパスにつながる大きな通りになったんだと思い出し新24号線に進路を変えたのです。
訪問先の書店は大久保駅の近く。冷静に考えれば旧24号線を走っていればそのまますぐについたのですが・・・
37℃の炎天下、さらによく考えてみると昔というのは十数年以上前のことだったのです。
街の風景も変わっていました・・・
書店業界に入り外に出ることが少なくなり、いろんな意味で世間から遠ざかっているように思います。


さて今回ご紹介したいのは伊藤若冲。
パルナの営業担当のU氏よりブルータスの「若冲」特集と
京都国立近代美術館で絵画展にあわせて「若冲」フェアを展開したら面白いよと提案をされたのがきっかけです。
もともと辻惟雄の「奇想の図譜」「奇想の系譜」をパルナの定番として置いていたということもあります。
 
「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」
9月23日(土)〜11月5日(日)
 京都国立近代美術館http://www.momak.go.jp/

京都国立近代美術館A氏からご親切にも迫力ある「若冲」のポスターも提供していただき雰囲気が出てきました。
ぜひ手に取ってみてください。

06/8/15 十年一昔 〜店長
暑い毎日が続きます。
お盆休みはいかがお過ごしでしょうか?
私はパルナでの仕事にかかりきりでした。

最近読んだ本、嫌われ松子の一生 大型店に勝つポイント戦略 海戦3000年史 203高地の真実 
ばらばらですね・・・とりとめがなくてご紹介できません・・・

実は今日更新したのはパルナのリニューアルのお知らせのためでした。

私事で恐縮ですが、先代からパルナを引き継いで早10年になります。
引き継いだ当時はまだまだ町の本屋も元気で、
出版業界に不況なしなどと言われいたものです。

書店業のことを何も知らぬまま、引き継いですぐに先代が計画していた店舗リューアルを実行。
それまではあの小さな20坪の店で、レンタルコミックをしていたのです。
天井までありそうな文庫棚を仕切りにして、わずか8坪ほどをレンタルコミックのコーナーでした。
それでもお客様からビックリするぐらいのご利用をいただいていたのです。
そんなレンタルコミックサービスも近所に大手新古書店ができて半年で売上げ半減。
リニューアルと同時にレンタルを止めて販売オンリーにしようということになりました。そしてPOSレジを導入、販売時点管理などというシステムで効率経営。
やがてPCをさわり始め、お店のレジ台に置いていつでも検索&注文できる状態になりました。
ピーヒャラヒャラ〜FAXモデムでインターネットにつなげていた時代です。
町の本屋のパルナもそれなりに時代の流れに適応しようとしてきたわけです。

世の中も橋本総理時代に金融ビックバンが始まり大手証券会社が倒産したり、銀行が合併したり。この頃でしょうかね、携帯が高校生や中学生にも普及し始めたのは。不景気の中ドコモがだけが儲かってるなどといわれていたような気がします。携帯料金とコミックを買うお小遣いとが同額だったりして・・・小泉さんが登場し、衣料業界に価格破壊の象徴のようなShopがブレークし、デフレ社会に突入。
書店業界も右肩下がりの時代に入りました。

「旅の絵本Y」を紹介したときにもふれましたが、丹波口付近の街の風景が急速に変わりました。
中央市場と島原の街、どこか魚の臭いがするような気がする街、夜になるとパルナの明かり以外は真っ暗、日曜は閑散として特にリサーチパークのあたりなどはまるでゴーストタウン。
それがここ数年で五条通の拡張、ファミリーレストラン、回転寿司、大手衣料チェーン、外資系cafe、極めつけは深夜まで営業する大型スーパーの登場で日曜も人通りの多い街に変わりました。
その一方で昔からあったお店が何軒か閉店したのを皆さんご存じでしょうか?
市場原理主義のご時世それも仕方がないのかもしれません。

丹波口は良くも悪くも京都のど真ん中にしては異質な雰囲気がありましたが、
どこにでもある風景になったようにも思います。
しかしその市場原理の法則に従い、5年後10年後これらの大型店が撤退したとき、この町はどうなるのでしょう・・・私の思い過ごしでしょうか?
もっとも10年後もパルナは存在してるんかい!っと誰かに突っ込まれそうです。
商売に集中しようと思います。

ああ忘れておりました。リニューアルのお知らせです。
10年の歳月でテントは汚れ、雨よけのカーテンは破れました。
書棚は十分に使えますが、発売される本の形態やパルナの棚作りの方向性が変わつつあるのでそれにあわせた棚にしました。
POSレジやインターネットなど世に適応してきたはずのパルナですが、気がつけば取り残されておりました。
売れ筋、新刊、定番、マニュアル通りの書店展開ではどうにもならくなってきたのです。書店仲間をみても自店の棚作りをしている店と従来通りのやり方に終始している店とにはっきりと分かれてきました。
最初はほんのちょっと、テントと棚を変えるつもりだったのですが、建築士さんと相談している内についつい調子に乗ってしまいました。

しかし、改装は難しいですね。
半年近く建築士さんと毎週打ち合わせをし概ね当初の目的、イメージどおりになったのですが、細かい点でいろんな私の見通しの甘さが出てきました。5年ほど前に自宅を改装したのですがこちらも機能的には目的を果たしましたが、インテリアとしては悲しいものがありました。今回はそのリベンジもあり、信頼のおける建築士さんとイヤというほど打ち合わせをしてきたのです。俗に家は三回建ててはじめて納得のいく家になるといいますが、パルナの場合も大きな目的が叶ったのならそれで良しとせねばならないのかもしれません。後は棚作りでおもろい店にしていこうと思います。

お盆を仕事三昧で過ごしたのはこのためです。
夏のネタをもう少し書くつもりでしたが、働きすぎて眠たくなりました。
また改めます。

今後ともパルナとお付き合い下さいませ。

06/3/5 書店本、その一 〜店長
先日、取次(業界用語で問屋)の支店長がパルナに立ち寄られて開口一番
「サイト更新してないね」と指摘されました。
会えば話はするがパルナに立ち寄られることはない人なので、
まさかサイトをチェックしておられるとは知りませんでした。
誰が見ているかわかりません、怖いですね。



そこでちょっと一般には知られていないが書店人なら知っているという本をご紹介したいと思います。
いわゆる業界本、書店人向けに出版された本です。
以前スタッフの戸田が紹介した「物語りのある本屋」もその一つです。
また私も昨年5月に〜最近の書店事情〜にて「菊池君の本屋」を紹介しました。
どちらもアルメディアという書店関連本を出している版元(業界用語で出版社)の出版。
「菊池君の本屋」はヴィレッジヴァンガードの創立時代を永江朗がオーナの菊池敬一さんの語り風にして書き下ろした本です。
ヴィレッジヴァンガード本店の写真がふんだんに載っており、当時の雰囲気が伝わってくる私が最も好きな業界本です。
初版は94年、バブル崩壊後も「書店業界に不況なし」とうたわれたよき時代です。
残念ながらこの頃私はまだこの業界に籍を置いておりません。
ちなみにこの本の帯のキャッチコピーは

「本屋には夢も希望もあるのだ」




「ヴィレッジヴァンガードで休日を」
97年に菊池敬一氏が自ら書き下ろし、絶版になった後、昨年末に新風舎から文庫で発行されました。
95年から96年にかけて業界紙に掲載されたエッセイをまとめた物です。
ヴィレッジヴァンガードが世に認められ直営店をドンドン出店し、フランチャイズ化する直前の時代です。
私はこの本の存在を知らず昨年文庫を読みました。
まず分厚い、内容が濃い、読み応え十分です。
POPの添削から店長採用試験などVVファンにはたまらないでしょう。
菊地君がフランチャイズ化、それで良いのか?と悩んでいるところが興味深い。
菊地式帳簿の付け方、書店と図書館の関係に対する見識など、共感することしきり。
菊地君の本屋に対する思いがビンビンと伝わってきます。
 
 「ヴィレッジヴァンガードの理念」
が二度にわたって紹介されています。

 良い本屋より楽しい本屋を
 金太郎飴のアンチテーゼ
 新刊、ベストセラーの呪縛からの解放
 本は売れるものではなく売るものである
 本に対して健全な知識を持っている書店経営者は、利益を上げられる
 本と本に関わる全ての事務を愛そう

最後の理念は二度繰り返し紹介されています。
実は書店業界の経営上の問題点を考える上で大変重要なことです。
次回のスタッフリレーでお話ししていくつもりです。

第2章には「本屋の明るいお悩み相談室」
明るく回答されていますが、よく読むと書店業界の厳しい現状がかいま見えてきます。
エッセイが掲載された95年は阪神淡路大震災が起こった年です。
私がこの業界に入った年であり、書店業界の右肩下がりが始まった年でもあります。
そして本が発行された97、98年は3年連続売上げ前年割れを記録し、経営悪化が深刻化してきた年です。
一般書店の売上げ低迷とヴィレッジヴァンガードの快進撃の対照が鮮明になった年です。
こちらのキャッチコピーは
「創業以来、売上記録連続更新中!」

それにしても、菊地君の文章は捻りがききすぎて少々読みにくい。
その文体に団塊の世代を感じさせます。

しばらく業界本をご紹介していきたいと思います。
お付き合い下さいませ。

05/10/1 青幻舎の棚 〜店長〜

その後落ち葉も落ち着きホットしたところ季節も涼しくなりました。
朝晩なんとなく甘ったるい匂いが漂ってます。
もう金木犀の季節でしょうか。
そういえば去年も同じような書き出しをしたような・・・

さて先月、リーブル銀閣寺さんの慰労会をした折
仲良くなった京都の版元「青幻舎」の棚を作りました。

装丁の美しさに引かれて
パルナの飾り棚で全面展開してみました。
如何でしょう?

「青幻舎」
http://www.seigensha.com





























05/09/18 京都の秋 〜店長〜

京都の秋、
毎年この季節になると、各出版社から「京都特集」の雑誌がいっせいに発売されます。
パルナも「京都コーナー」をつくってみましたが、
今年はいつものフェア台に「寺山修司の世界」を展開していることもあり、場所が空かず、少し奥まったところで京都本と紅葉の飾りつけとなりました。

パルナPOP担当のオカヤマが色々工夫して飾り付けしてくれたのですが、なぜかしっくりきません。
そのうち葉っぱがチラホラ落ち始めて、
文字通り落ち葉に(^_^;)
ああ、どうやって収拾しましょうかねえ〜



05/08/28 現実入門 〜店長〜


  初めての献血、合コン、部屋探し、そしてプロポーズ
  このまま一生何もせずにして終わることはできないー。
  現実を恐れ逃げ続けた男、
  「人生の経験地」が極端に低いと自認する著者が
  未経験リストを上げて、42歳にして初めての挑む!

キャッチコピーを読んでグッときてしまい、思わず手に取りました。
穂村弘は90年代にデビューした歌人です。
歌集は苦手で個人的には興味がなかったのですが、
昨年「もうおうちへかえりましょう」が良く売れたので書店人として名前だけはチェックしていました。


「自分ひとりの世界での甘い空想や望みと現実のギャップは〜どうしても慣れるということができない」

ああ、わかるわかる。

早速、ワクワクしながら読んでみると、42歳にして初めての体験は、
著者の繊細で過敏な反応、裏読みし過ぎるきらいがありすぎて、
「なーんや」ってな感じが少々・・・それが現実かぁ〜と
しかし歌人というのはうまいこと表現するものですね。
不動産物件の家賃の微妙な値付けを
「現実の精密さ」

「占い」の章では、微に入り細をうがって占い師の手順を書きとめ、その手法を分析。
これがなかなか見事で漠然とした占いに対する疑問を解き明かしてくれます。
しかし、それはまるでいっぱい本を出してる精神科医か評論家のようで、
「そんなんやったら経験する必要ないやん」
とも思ってしまいます。
「ごちゃごちゃ考えんと素直に感動せえよ」と。
人生経験の少ない人ほど「理屈言い」の傾向があるような・・・書店業界は特に。
でもいいか、町の本屋は現実逃避の場。
いや待て、それはお客様にとってであって書店人にとっては現実の仕事場、逃避してどうする。
ああ、また理屈だ、脳内体験、想像体験、空想体験、妄想体験、だんだん穂村弘だ。
別の章では次のように書いています。
「本当は、年齢は関係ないのだ。目の前の現実をひとつひとつこなして生きるということは、若くてもできるひとにはできる。年をとってもできないひとにはできない」

スタッフと「現実入門」について話をしていると
「あ〜、これまだ僕も経験していないですね」
言われてみれば私も体験していないものが結構ありました。
「ほな今度一緒にやってみるか」
とちょっと盛り上がったりして。
きっとみんなそれぞれの「現実入門」があるんでしょうね〜

さて、これを書いてると先日取材にいらした「関西ぴあ」編集部S氏からFAXが届きました。
9月8日発売の「関西ぴあ」に掲載されるパルナの記事の原稿です。
この「現実入門」はその取材の折、「店長のオススメの一冊を教えてください」
といきなり言われ、とりあえず手にした一冊でした。
原稿を見てみると掲載ページの表題は、
なんと、
「名書店数珠つなぎ〜最強の棚列伝」
いったい、何人の書店人が自店の棚を最強と誇っているのでしょう。
「関西ぴあ」もえらいテーマを選んだものです。
そら掲載する書店がみつからんはずやわ。
そして気になる私とスタッフ戸田の写真を見てみると、
これが感熱紙のFAX用紙のためモノクロで表情どころかシルエットしかわからない。
ますます、不安がよぎる・・・顔が引きつってたらどうしよう〜

考えてみればパルナと私が取材を受けるのは業界紙を除けばこれが初めて。

現実だな、現実って感じだ。

05/08/23 近況報告 〜店長〜
前回の更新より既に二ヶ月以上経っております。
もう夏も終わりですね。

コアなお客様、出版営業マン等各方面から
「いつ更新するねん」
とプレッシャーを掛けられています。

よってまずは近況報告から。

プライベートでは自宅の町内会の組長をしており、
先日の日曜日は地蔵盆のお手伝いで一日終わりました。
まだこれから秋の体育祭などお役目が残っております。

店長としては6月まで書店組合の下京・南区の支部長をしており
組合活動や支部総会などややこしいお役目を果たしておりました。

このように書いておりますと
「店の仕事はしてへんのかい」
との厳しいご指摘を受けそうなので
こちらもご報告をいたします。

実は本日23日に雑誌「関西ぴあ」の書店特集の取材がありました。
先週突然取材したいとの申し出があり、
当日まで棚作りやPOPやらスタッフと一緒に深夜まで掛かりきりでした。
アミーゴ北山店(旧優里奈書店)のk店長まで応援に駆けつけくださり
貴重なアドバイスを頂きました。
取材にはぴあ編集部のS氏とカメラマンの2名がいらっしゃり、
スタッフの戸田と一緒に取材を受けました。

パルナとしては
「町の本屋は娯楽の宝庫〜エロから児童書まで〜」
をコンセプトに書棚を作りましたが、エロのほうは抵抗があった様で
(ぴあ社内の編集会議で問題になりそうとか・・・)
無難な棚ばかり写真撮影されました。
棚の後は店長と戸田で仲良くツーショットとなったのですが
店の外の正面で撮ることになったため人が通り恥ずかしかったです。
それにしてもプロの撮影ってすごいですね
いちいち光量をはかって、同じ写真を何枚も何枚も撮っていかれました。
あとスタッフ戸田、撮影前は嫌がってたのに(散髪してないのが理由とのこと)
いざ撮りはじめたら満面の笑顔。
こちらは緊張で顔がこわばってたというに、世代の差を感じました。
あ〜写真が心配だ(-_-;)

さて、撮影の後、向かいのビックリドンキーで記事の取材です。
店長とぴあS氏・カメラマンの三人はアイスコーヒーなのに
戸田だけはチョコレートパフェ。
小一時間ほど話をしましたが、
取材の最後にぴあS氏より
「他にいいお店があったら紹介してください」
と聞かれ
「ああいいですよ」
と紹介しようと思ったら、アミーゴ北山店しかでてこない。
あとはみんな取材済みのお店ばかり。
全国チェーン店やよくマスコミに露出してる有名店を除いてという
条件があったせいもありますが
改めて町の本屋の衰退を認識した次第です。
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